養豚農家…並木俊幸さん / 有機農家…斉藤完一さん
日本の食と農は危機的な状況と言われる。低い食料自給率、高齢化、担い 手不足、日本の農業は再生するのか? そんな中、資源なき国の弱さを強 さに変える新しい試みが行われている。 千葉県で養豚農家を経営している並木俊幸さんは家畜ふん尿がお宝になる という逆転の発想に着目。一方、20年間有機野菜をつくっている斉藤完一 さんは…
農業の効率化を求めるあまり化学肥料や農薬に頼る農業、輸入飼料に頼り 排出される畜産ふん尿と格闘する畜産経営。牛で40kg、豚3kg、鶏100g、 これはそれぞれ1頭(羽)が1日で食べる飼料の量であり排出される糞尿 の量でもあります。家畜排泄物は畜産農家と耕種農家の連携で有機堆肥 として有効に活用されるものでした。 家畜排泄物が地下水や河川の汚染、悪臭、温室効果ガスの排出、 病害虫の 発生などを引き起こし、環境問題となって久しい。家畜のふん尿処理は、 完熟堆肥となるには4ヶ月程度要し、時間と手間がかかり生産者にとって 大きなマイナスコストとなっているのです。
それだけの期間がかかれば広いスペースが必要となり、切り返すための 膨大な労力、並木さんにとって養豚経営の大きな足かせとなていました。 そんなある日ハエの幼虫が家畜ふん尿をわずか1週間で処理する「ズー コンポスト」の話を聞き、当時は実用化に向けた試験段階であったにも かかわらず導入を即断した並木さんは「堆肥舎でウジ虫が湧いたところ だけふん尿がサラサラになるのを見ていましたから、これならいけると いう確信がありました」と振り返ります。問題を解決するための、並木 さんの選択がハエの幼虫だったのです。 実はそのシステムは、宇宙船内の排泄物処理と宇宙飛行士用食料への転 換という発想から研究開発された技術で特殊なイエバエを使って家畜の ふん尿を再資源化するシステムです。並木さんによれば、イエバエ幼虫 の効用は単にふん尿処理の省スペース化、スピードアップだけでなく、 従来の方法に比べ、悪臭や二酸化炭素、その20倍もの温室効果があると いうメタンなどの発生が著しく減少し、環境にやさしい養豚が可能にな るという。